遺伝子検査とPRAの話①

最近日本犬にも多いPRA(進行性網膜萎縮症)という遺伝子病

去年からずっと書きたくてあれこれ調べていたPRAについてです。ダックスフントに多い…という報告がある病気ですが、最近、日本犬にも多く現れているようです。甲斐犬に関しても同様で、キャリア(変性遺伝子を一つ持っている状態。発症はしないが、交配に気を付けないとリスクという発症確率を持つ子犬が産まれる)は実は大変多いです。

とはいえ、日本犬は柴犬以外遺伝子検査をしていることが少ないため、また、特定の遺伝子病の報告も少ないため、あまり気にされてはいないようです。ですが、キャリアはおそらく、現在の甲斐犬の確率でいえば1/2かそれ以上いる予測

当犬舎でも昨年、全頭検査をしましたがなんと7頭中3頭がキャリア、1頭がリスクでした。

これまでの子犬に発症リスクのある子はいません

まず、うちから子犬を迎えてくれた方々に安心してもらうためにこれを書かなくてはいけません。これまでに作出した子犬にリスクはいません(両親の組合せで分かります)。

幸いにも、種牡2頭がクリアなため、キャリアのメスをかけてもキャリアかクリアしか生まれません。でも、これはたまたまの幸運でした。柴犬以外の日本犬に遺伝子病の心配はないだろう、ましてや、祖犬にもおかしな犬はいなかったのだから大丈夫、と思っていたのは今では甘かった、と思います。

では、キャリアは使わないのかといえば、柴犬以外の日本犬においてはそれが難しいところです。使わないに越したことはありませんが、考えた結果、当犬舎が選ぶのは「キャリアも使うが、時間をかけて消していく」です。

種の保存と遺伝子病排除の両立

甲斐犬は数が少なく、まして血統保存をしているうちのような犬舎だと、ほかの血統をむやみに入れるわけにもいきません。そうすると交配相手が限られてしまい、本来の目的である「甲斐犬の保存」ができなくなってしまいます。

キャリアは、交配に使う際には注意が必要ですが、病気の発症はありません。ただ、当然キャリア同士をかけることはないので(キャリア×キャリア、リスク×キャリアはリスクが生まれる可能性があるのでやってはいけない)、生まれる子犬はキャリアかクリアになります。つまり、子犬はすべて発症はしない。

そこからまたクリアを選んでクリア同士でかけていき、血統を保存しながら遺伝子病も排除していく……しかないだろう、という結論に至りました。これまで、血統を保存し、見た目と気性を気にして交配をしていましたが、まさかの遺伝子病の排除も加わってしまったわけです。でも、本来ブリーダーが当然するべきことです。

アメリカのEmbark社で検査

検査ですが、日本では甲斐犬のPRA検査をしてくれるところが見当たりませんでした。知り合いから聞いてアメリカのEmbark社からキットを取り寄せてやっています。まあまあお高くて(Bleed&Hearthテストで通常199$、セールになると159$)2024年3月現在、送料も合わせると日本円で2万円くらい。(よその種牡候補もあわせて8頭分やりました。死)

でも、256種類の遺伝子検査と5代遡ってのファミリーツリー(純血度が見られる)、ウルフネス(原始的な犬のパーセンテージとでもいうのか…オオカミの血があるとかではありません。日本犬は高い傾向)、ハプロタイプ(DNAミトコンドリア。個人的に、PRA含む遺伝子病は深くかかわると思っている)などが分かるので、やって損はありません。

特に、交配をする方はぜひ。甲斐犬のPRA率サンプルや遺伝子病サンプルを集めているので、情報交換ができるならうれしいです。

お友達紹介リンクがあるので張っておきます。ここからだと50$OFFになるらしいです。

↓ここからで50$オフ!

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種類いろいろあるんですが、甲斐犬含む日本犬のブリードをする人は上の項目がすべてわかる、緑色のパッケージ(写真)のBleed&Healthテストがおすすめです。

遺伝子検査についてはまだ考察がいろいろあるので②へ続きます

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