譲渡の準備と甲斐犬のしおり
今週末、いよいよ凜(彩雲)が新しい飼い主さんのもとへ出発です。
動物取扱業で必須となった対面説明の時に、すでに甲斐犬の特徴や気性、主だった飼育方法についてはお伝え済みですが、仔犬の間は特にエサ、病気、躾など悩むことも多いかと思うので資料をつけています。
また、当方から仔犬を譲渡する方には、昭和50年代に甲斐犬愛護会発行の「甲斐犬のしおり」のコピーをつけています。
現在は入手困難(おそらくほぼ不可能)ではないかと思います。
とあるところで見せて頂き、最初の愛護会の姿勢というものが分かりやすくシンプルに書かれていたため、今後、甲斐犬を広めていくときに自分が犬を渡す人には見てもらいたいと思い、複写させていただきました。
昔の甲斐犬を知る人がどんどん少なくなり、ただ目の前にいる犬で展覧会やネット情報の「良し悪し」を自分で見抜いていくしかない時代になってしまいましたが、新しい家族に甲斐犬を選んでくださった方には、少しでも甲斐犬がどんな犬かが伝わるといいと思い、かつての先達の文書を共有させていただきます。
ところで昔の犬を実際に見て知っている方は少ないながらもまだいて、それぞれに自分の追い駆ける「甲斐犬像」を確立しています。
先達の書を見て甲斐犬ってそいういう犬か!と大枠で思いながらも、そういうかつての犬を見てきた人達の甲斐犬の話を聞くと、群雄割拠な感じがしてワクワクします。
私の先生とその師匠が追っているのも、とある昔の犬です。私が追っている(というか目指している)のは、その犬の血を引くとある犬です。
余談ですが、天総犬舎のアイコンの青い犬のシルエットは、その自分が追っている「とある犬」をモデルにしています。会報にも載っている犬ですが、このモデルになった写真は別犬みたいで、しかもその写真はほぼ門外不出なのです。
この犬が何か分かる人がいたらすごい甲斐犬マニアだと思う。ぜひお話を聞きに伺いたいです。
“譲渡の準備と甲斐犬のしおり” に対して2件のコメントがあります。
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仔犬を譲渡される方にこのような「しおり」をお渡しするというのは素晴らしいですね!
このような犬舎主様が増えてくださることを願います。
日本の天然記念物である甲斐犬の素晴らしさを理解し、甲斐犬を飼い、次代に繋げていくことの意義を汲み取っていただいて凛号からまた純粋で優秀な甲斐犬の血を繫げていっていただけるといいですね。
仔犬ちゃんたち、もう立派に虎柄になって成長が楽しみですね。
コロコロで子熊のようで可愛いいです。我が家の甲斐犬が家にやってきた頃を思い出します。
私も昔経験がありますが、いちばん可愛いときに手離さなくてはならないのは切ない思いがします。千代鶴ちゃんも寂しがるでしょうね。
小林承吉先生、甲斐犬仔犬とご一緒で笑顔でよいお顔をなさっていますね。
大正時代に小林承吉氏が、私の生家の近くで当時では珍しかったであろう動物病院に勤務されていたということを知って、勝手に甲斐犬との縁を感じております。
犬舎主様の追っていらっしゃる甲斐犬は巨摩狼号の系譜の甲斐犬でしょうか?
少し前にブログを閉じてしまわれましたが、巨摩狼号の血筋を守ろうと頑張っておられた犬舎主様がいらっしゃいましたね。
巨摩狼号の子孫の系譜を見ると随分近親交配がなされていますね。そのようにして優秀な遺伝子の繋がりを紡いでいったのが解ります。今はどのように繋がっているのでしょうか? 気になります。
中田さま
コメントありがとうございます。
甲斐犬はまだマイナーなので、生い立ちや性質を、発見当時を知る人の言葉で書かれているこのしおりは参考になるなと思ってつけています。
でも、実際、仔犬を飼う方はペットとして迎えて下さる方がほとんどで、天然記念物と意識していないこともあるので、迎えた方がどのように受け取るか、仔犬を育てるかはお任せしています。
我々がやることが「保存と普及」なら、里親になって下さる方は「愛護と普及」なので、かわいがってもらってついでに近所の人に「あら、甲斐犬かわいいわね」と思ってもらえたら充分です。
次代に繋げるためのお願いもしてはいますが、適性がそろったらの話でそれが分かるのもまだまだ先です。
かわいい時に手放さなくてはいけないのは寂しいですが、甲斐犬って大人になるほどに飼い主にフィットしてくるので、その前に出てってくれ、とも思います(笑)
うちでいうとやっぱり一番かわいいのは一番長く一緒にいる夜雲で、続いてつゆ・ちよが同列です。
小林先生が一緒に写っているのは、先生が作出した新狼犬の子で、満州狼と甲斐犬のミックスですが、世界的にもめずらしい成功事例だったそうでいい笑顔ですね。
そして、ご実家の近くに小林先生が勤務されていたんですね。それはすごいご縁です。甲斐犬好きとしてはうれしくなりますね。
当方が追っているのは巨摩狼系ではありません。
たまに巨摩狼系の子という仔犬を里親募集サイトで見ることもありますが、どれくらいの血の濃さなのか、どなたかが受け継いで保存しているのかも存じ上げないです。
ご存じのことと思いますが、近親は甲斐犬に限らず、日本犬はすべてそうでした。
これまで見た昔の交配記録の中で特に印象強く近親がすごいと感じたのは四国犬ですが、
四国犬はもともと山から出てきたときの完成度が高かった犬が何頭かいて祖になっているので、余計にあれこれする必要がなかったのでしょうね。
ほぼ完成形が最初からあった、という印象です。
当方が何の系統を追っているのか、今現在、どうやって遺伝子を繋げているのか、
この辺りは申し訳ありませんが公の場では回答できません。
先生やその師匠が守ってきたことであり、末席も末席の自分が知ったかぶりをするのは100年早いという話なのです。
いつか納得できる犬ができたら「追っている犬の形ができた」とブログに載せると思いますので(いつなんだろう)長い目で見守って頂ければ幸甚です。