甲斐犬の話を取材目線で書いてみる①

甲斐犬は本当に謎な犬でして、大きさ一つとってもこれだけばらつきがある日本犬(天然記念物指定の)はいません。
「甲斐犬の特徴は?」と聞かれて、10個以上答えられる人はいるでしょうか。
あまりいないかもしれません。でも、それにも理由があって。
発見当時、狩猟雑誌に甲斐犬のことが掲載されるやいなや、県外から多くの収集家が押し寄せて発見された地域の甲斐犬をすべて買取り、県外へ持ち去ってしまった。
このために、発見者の小林承吉氏は「甲斐犬の特徴を秘密にしよう」と、この稀有な地犬をベールに包んでしまったのだそうです。
なので、しばらくの間「甲斐犬とは」がぼやけていた時代がありました。その間に、いろいろな人が「これぞ甲斐犬」という犬を作出したり、高値で売ったり。
本当の姿が公に伝えられていない間に、愛犬家の間でそれぞれに「これが甲斐」という姿ができていってしまったようです。
そこで、発見当時の甲斐犬の特徴を挙げてみます。
●犬種の特徴としてすべての犬に虎毛がある
●耳が大きい(具体的には、耳を口吻の方へ倒したときに目が隠れるくらい)
●飛節が長い(角度の意味で言われることが多いが、長さらしい)
●毛が粗い
●舌斑が多い
●蓑毛が長い
●首が長い
●巻き尾の犬でも走るとほどける
●体高と体長がほぼ100:100
●目はつり上がっていない。目じりに丸みがある
●体高は39.5~45.5cm(優秀な犬は42.5cmくらいが多かったらしい)
以上、小林承吉氏の息子である小林君男氏が書いた「甲斐犬の歴史と解説」にあるものを挙げました。
ちなみに、同じ本の中に「虎毛がない黒い雑種」の記述がありますが、黒虎同士を掛け合わせ続けると虎が消えていきます。
現代では遺伝子検査も発達しているので、真っ黒であろうが遺伝子的に甲斐犬、という証明はできますが、保存の観点からいえば甲斐犬の特徴である虎毛を消さないように交配すべきです。
ただ、甲斐犬の発見者であり、獣医師であり、犬の特徴を色だけではなく細部まで見ている小林承吉氏が違うというのだから、この本に載っている「黒い雑種」は本当に違う犬が入っていた可能性が高いと思いますが…。
編集者目線でフィルターをかけずに集めてきた甲斐犬の知識を第三者目線で書いていくシリーズ。
エビデンスのある話しかしませんので、興味がある人は追いかけてみてください。

