【甲斐犬と狩猟⑧】初めてのグループ猟でイノシシを解体【5日目】

こちらは犬用にもらった背骨。この3つで首からお尻までの背中の骨です

※今回のブログは一部残酷に見える写真があります。苦手な方はご遠慮ください

11月22日、土曜日。
同じ地区の猟友会のSさんが、グループ猟に誘ってくれたので参加してきました。巻き狩り※1というほどの規模ではなく、自分を入れて4人。勢子※2が2名、たつま※3が2名です。
※1 大人数で広範囲から獲物をたつまが待っている場所へ追い込んで獲る方法
※2 獲物を追い込む係
※3 隠れて勢子が追ってくる獲物を待ち、仕留める係

大人数の猟はちょっと苦手かもな…と思っていたのと、そもそも右も左もわかってないのにグループ猟なんていったら足手まといだと思っていたのですが、このSさんたちのグループはいつも同僚3人組でやっているそうで、「緩ーく山歩きしてる感じ」ということだったので参加する勇気が出ました。

狩場も今回はSさんの家の裏山。自分が行っている山の尾根続きなのですが、初めての場所なのでどんな地形なのか楽しみでした。

いきなりイノシシが続々と現れる

朝7:00に集合して、挨拶を交わしてからさっそく山へ。二手に分かれて、自分はSさんと一緒に勢子になります。「隊長」ことHさんと、自称「食べる専」Kさんがたつま。

右下に広場を見ながら山道を進んでいくと、出発早々、右側から「ブヒブヒ」とイノシシの声が!
Sさんと顔を見合わせてそっと下を見ると、広場に大きなイノシシが2頭。さらに子どもも2頭。Sさん、すぐに装弾して撃ちますが…外しました。

イノシシたちは一発目の銃声を聞くとすぐ、後方の山へ向かってダッシュです。二発目もあえなく外れて、Sさんめちゃくちゃ悔しそう。

「あ~でかかったのになぁ」
「まあまあ。今のが獲れていたら、今日の狩猟終わっちゃいますよ。山歩きたかったので、ありがとうございます」

そんな会話をしながら歩いていくと、ヌタ場※4に出ました。

「これ…」と、狩猟初心者の自分にSさんがヌタ場を教えてくれようとしたその時。小さなイノシシが2匹、竹藪からトコトコ現れました。

※4 イノシシが寝転んで体を洗う泥状になった地面

警戒心ゼロの子イノシシをゲット

この子イノシシ、我々と目が合ってもきょとんとして逃げません。あまつさえ、一匹は「なんだなんだ」とこちらへ向かってくるではありませんか

「え、ええー……」(心の声)

戸惑っている間に、Sさんの銃声が響きます。今度は当たって、あっという間に最初の獲物を手に入れたのでした。

小さいし、開始早々だしということで、少し戻った場所にイノシシを追いてきて再び山を登ります。初めて目の前で獲物が撃たれるところを見たのですが、あまりにイレギュラーなできごとであっけにとられた…というのが感想でした。

これ、撃つところを見られたから自分ももし同じ場面になっても撃てると思うけど、そうじゃなければこの状態のイノシシを撃つのにきっと何年もかかっていたと思います。

小さくてかわいいイノシシもあっという間に大きくなって畑を荒らします。出会って、チャンスがあるなら撃たなくてはいけない、ということを改めて思い知らされたSさんの一撃でした。

狩場がめちゃくちゃ明るくて歩きやすい

道案内しながら狩猟のポイントを教えてくれるSさん

さて、この狩場の感想。それは

「なんって広くて歩きやすいんだ」

です(笑)。

いつも谷底へ向かう崖を下りたり登ったり、崖に張り付いて横移動したりしていたのは何だったんだ……と思いました。しかも、8㎏近いリュックと銃を背負ってです。勝手に「千葉ってこうなのか」と思い込んでいて、「みんなすごいなあ、こんなところで狩猟するなんて」と、これまた思い込んでいました。

うちの裏山は単なるハードステージだった

しかも、ここ、獲物も多いのです。この日は一周してHさん・Kさんと合流するまでに合計10頭のイノシシと会いました。(さすがにこの頭数は珍しかったらしいですが)

イノシシが擦ったあとや寝ていたもあちこちに。これは結構大きいやつです

初めてのイノシシ解体を体験

せめて白黒にしてみた…

さて、エンカウントは10匹でしたが、獲れたのは結局最初の小さなイノシシ1匹でした。

Sさんがつくった解体場所へ行き、吊り下げるほどでもないため、パレットとブルーシートの上で解体作業が始まります。解体を覚えたくて、自分から志願してさせてもらいました。

解体方法は人によって全然違うらしいのですが、今日教わった手順としてはこんな感じです。

①肛門の周りをぐるりと切る
②胸から股に向かって、内臓を傷つけないようにお腹を開く
③内臓を取り出す。この際に①の工程をしておくことで、腸と肛門も一気に抜ける(レバーや心臓を食べる場合はブルーシートなどによけておく)
④腹腔にたまった血を洗い流す
⑤後ろ足の足首にぐるりと切れ目を入れ、そこから股へ向かって皮を切り、足首から腿、臀部、背中へと皮をはいでいく
※他の人にイノシシの足を持ってもらいながらやるとやりやすい。
※バラ肉は特に脂がおいしい部位なので、皮と脂の境目ぎりぎりを攻めていく
⑥前足も足首にぐるりと切れ目を入れて皮をはぐ
⑦頭と足先を落とす
⑧四肢は間接を切り離して取り外す。
⑨背ロース、内ロース、肋骨、バラ肉、モモ肉などを部位ごとにできるだけ骨に残さずとっていく

小さいイノシシなのに結構時間がかかった気がします。1時間くらい?これ、もっと大きなサイズで一人で山中でやったらどれだけ時間がかかるのか……。
できるだけ無駄なく肉を持っていきたいと思うと、やはり山中解体は無理がある気がしてきました。

犬に骨と足先をもらってくる

脚です。豚足みたいな感じ

お肉はみんなで分けますが、皆さん「まだ肉が家にあるから」とか「初めてなんだから先に好きな部位選んでいいよ」とか言ってくれて、「とりあえず骨の部分を…」と、犬用の骨や足先をもらいました。

でも、結局「背ロース食べなよ」「バラも持って行っていいよ」と、人間が食べておいしい部位もめちゃくちゃたくさんいただいてしまいました。ありがたい…。

脚は、まだ若い個体でやわらかかったのととてもきれいだったのでそのままあげてみました。匂いを覚えて追うようになってくれるといいのですが。

↓サクラの反応

人間は夜、レバニラ炒めで乾杯

ワンコたちには脚と骨付き肉をゆでたものをあげて、自分は「新鮮なレバーが本当においしいから持っていきなよ」とこれまたいただいたレバーでレバニラです。

じつは内臓系が苦手なんですが、おいしかった。

食べながら、昼間、とことこ歩いてきたあの子イノシシが、撃たれて死んで、解体されてこうして食卓にのぼっているのか……となんとも不思議な気分になりました。

釣りとかわらないんだな……。

狩猟するということは、命を奪って解体することだよなあと、ずいぶん長く悩んでようやくハンターになったのですが、今日やってみて、ごく自然なことに思えました。釣った魚を食べるのも、撃ったイノシシを食べるのも変わりません。

変わるとしたら、食べられるために育てられて見知らぬ誰かがと殺して、工場できれいにカットされてパック詰めされる市販のお肉の方です。地球上に増えすぎた人間の胃袋を満たすために家畜は必要なのかもしれません。

でも、不自然なんだよな……と、子イノシシの命をいただきながら思ったのでした。